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法面・斜面に芝生を張ることの
メリットとデメリットを解説(前編)

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かわいい芝生の丘

自然の雰囲気が好きなかたにぜひ読んでほしい「法面芝張り」についてのコラムです。

こんにちは!愛知県安城市、刈谷市、知立市を中心に三河地域の外構・造園の設計および施工を行っている株式会社ルボワです。ルボワについての詳しい案内はこちらをご覧ください。

公園やお庭など、暮らしに最も身近な植物である「芝生」。その存在を知らない人はめったにいませんよね。そんな芝生を斜面のスペースに張る方法が人気を呼んでいます。今回は、これから外構を考える、とくに自然の雰囲気が好きなかたにぜひ読んでほしい「法面芝張り」についてのコラムです。注意点も含めて徹底的に解説します。

目次

  1. 法面とは何か
  2. 法面に芝生を張る外構とは? 
  3. 法面芝張りのメリット
  4. 法面芝張りのデメリット
  5. 施工を考える前の注意点
  6. 今回のまとめ

法面とは何か

「法面(のりめん)」とは、自然の土地に人工的な手を加えてつくられた斜面のことを言います。人工的な手を加えてというのは、土を上に盛る「盛土(もりど)」や土を削り取る「切土(きりど)」と呼ばれる行為です。その行為は造成工事の一環とされ、土地の持ち主が新たな利用目的に合わせて土地を整備するために必要となります。通常は建物が建つ前に行われる工事ですが、昨今では法面の状態を仕上げにする外構が広がっています。それが法面の「芝張り仕上げ」です。

自然素材を使った芝生のお庭

法面に芝生を張る外構とは?

設計された高さと周囲の土地に高低差があった場合は、土が流れ出るのを防ぐためにブロック積みや擁壁で「土留め」をしますよね。例えば高低差が少ないとき、広さが確保できているとき、選択肢はもう1つ広がります。それが「法面仕上げ」です。

「法面仕上げ」とは、ブロックを積むといった行為をあえてせず、斜面を整えたままの状態を完成とすることです。もちろん土が流れ出てしまいますので、芝生を張ることが必須条件となります。少し前からは、芝生一択でなく、大きめの砕石を荒く敷き詰める仕上げ方も登場しています。

デッキ前の芝生法面

では、さまざま土留めの方法がある中で、法面に芝生を張ることの何が良いのだろうか?どんなときに利用ができるのか?疑問が出てきたあなたのために、次項からはそのメリットとデメリットをご説明します。

土が流れ出ないよう防ぐ行為を「土留め(どどめ)」と言います。基本的に土は、強く締め固められていなければ徐々に崩れて流れていってしまいます。土留めをすることで雨風に流されることなく、地面を設定した高さ通りに整えることが可能になります。

法面芝張りのメリット

法面に芝生を張ると、以下の点で良いことがあります。

  1. 価格面
  2. 環境の良さ
  3. 景観面
  4. 自由度の高さ
  5. 一体感が生まれる

1.価格面

土留めを行うにあたって、ブロック積みの場合は材料手配や手間の費用だけでなく、基礎をつくるために土を掘ったり捨てたりする費用や、鉄筋補強の費用など、付随する工事の金額が発生します。また、高低差が大きく擁壁にする必要がある場合はさらにコストが高くつきます。

法面芝張りにかかるのは、整地や土壌の改良といった下準備の費用、芝生の金額と施工の費用、最後に芝生の活着をよくするために撒く目土(めつち)の費用です。土や植物といった安価な材料を使うため、また速いスピードで施工が可能なため、ブロックなどの組積工事と比べるとかなり安価になる場合が多いです。

2.環境の良さ

芝生は丈夫な植物ですが、日光を十分に当てなくては元気に育ちません。そのため芝生を張りたい場所はなるべく日陰にならないよう注意が必要です。その点法面は、平面と比べると太陽が効率良く当たり、太陽光発電のごとく芝生は陽をたっぷり吸収することができます。それも法面芝張りのメリットの1つです。

3.景観面

芝生を張ることで、単純に緑の面積が増えてお庭の雰囲気は良くなりますが、景観的な良さは面積だけではありません。平面に張られた芝生よりも、法面のように立ち上がったスペースに張られた芝生のほうが視認性は高く立体感が出ます。法面が芝生であれば樹木を植えることも可能なので、法面で華やかな植栽帯を実現させることもできるのです。

4.自由度の高さ

芝生の良いところは、張る形次第でお庭全体の表情を変えられるという点です。例えばまっすぐ直線・直角に張るとスタイリッシュな印象を与えます。反対にゆるやかなカーブを付けて曲線の形に張ると柔らかく洋風な印象を与えます。実は法面も同じで、内側や外側にカーブした坂を下地の段階でつくれば、それに合わせて芝生を張ることでかわいらしいお庭が出来上がります。

このように形の自由度は非常に高く、左右で高さ設定の変わる土地では、合わせて傾斜角をそれぞれ変えられるといったところもメリットの1つです。

5.一体感が生まれる

法面をつくる場所は大抵、建物と道路の間に土留めが必要になるスペースで、お庭とつながる部分であることも多いです。そのため、お庭スペースにも芝張りをすると法面とつながり一体感が出て広い印象になります。また、お庭スペースでなくても、植栽帯とつながることでよりナチュラルな空間に、駐車場とつながることで無機質な空間に彩りを与えます。 このように、他の空間を引き立てて全体の景色をグレードアップさせるのも、法面に芝生を張ることの魅力と言えます。

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