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法面・斜面に芝生を張ることの
メリットとデメリットを解説(後編)

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芝生の法面 ナチュラル

自然の雰囲気が好きなかたにぜひ読んでほしい「法面芝張り」についてのコラムです。メリットとデメリットを分かりやすく解説します。

こんにちは!愛知県安城市、刈谷市、知立市を中心に三河地域の外構・造園の設計および施工を行っている株式会社ルボワです。ルボワについての詳しい案内はこちらをご覧ください。

※こちらのページは(後編)です。はじめのページ(前編)からご覧ください。

はじめのページ(前編)

法面芝張りのデメリット

反対にデメリットもいくつかあります。やってみたいと興味が沸いているかた、実際に検討を進めているかたはぜひ、以下のデメリットも併せて確認してください。

  1. 十分なスペースが必要
  2. 傾斜角度
  3. 管理面

1.十分なスペースが必要

土留めをするとき、ブロック積みの場合は地面と垂直に積むため狭いスペースでも施工が可能です。一方、芝生を張る場合は必ず法面にする必要があるので、図のように奥行スペースを確保しなくてはなりません。そうすると、平らに使えるスペースがブロック積みと比べて少なくなってしまいます。

法面芝生仕上げ 有効スペースの違い

2.傾斜角度

芝生を植えて根が張ることで、斜面でありながら土が流れるのを防げます。しかし、芝生は根付くまでに期間を要するため、無茶な傾斜はおすすめしません。どうしても傾斜が付いてしまう場合、ネットなどで保護をする場合がありますが、見た目も損なわれてしまい本末転倒です。出来る限り緩やかな斜面を心掛けましょう。

芝張りの角度に正式な決まりはありません。しかし、土の斜面には工学用語で「安息角(あんそくかく)」と呼ばれる土が崩れない限界とされる角度があり、その角度は30度とされています。芝生が根付けば多少傾斜がきつくても保てる場合はありますが、安全のためにはこの安息角30度を基準に施工することをおすすめします。

3.管理面

ご存知の通り、芝生は植物で、植物は生き物です。根付くまではとくにこまめな水やりが必要になります。また、草丈が伸びてきたら刈り込みも必要です。草丈が長すぎると、歩きにくかったり、蒸れて枯れやすくなってしまったりと不都合が多いので、芝刈りは定期的に行わなくてはなりません。芝刈り機は必須で、夏場は成長が早いため芝刈りの頻度も増えます。また、斜面なので芝刈り機を使う際は注意が必要です。うまく刈れない場合はハサミで地道に刈らなくてはなりません。もちろん雑草も生えてきます。法面に芝生を張ると、そういった植物を育て管理する労力が必ず発生すると覚えておいてください。せめてもの刈り込み手間を減らすために、成長の遅い「TM9」「ウインターフィールド」といった芝生を選ぶのも賢い手です。

施工を考える前の注意点

さて、ここまで法面に芝生を張ることのメリットとデメリットをお伝えしてきましたが、いざ実際に施工したいと思ったときに、我が家の土地では本当に施工が可能なのか、気になりませんか?最後に施工を検討する前におさえておきたいポイントを確認しておきましょう。

芝生の斜面 シンプル
  • 土壌をチェック

芝生の施工にあたっては、下地となる法面の土台づくりが重要です。まず、芝生を張るのに適した土壌であるかを確認します。コンクリートガラなどの産業廃棄物が混ざった土や、強く乾燥した土ですと、せっかく芝生を張り、水やりしても根付く前に枯れてしまう恐れがあります。その場合は土の入れ替えや改良を行う必要がありますのでご注意ください。

  • 日当たりをチェック

芝生がきれいに育つために、なるべく日の当たる場所へ施工することをおすすめします。法面に張る場合は土留めを兼ねているので、土が流れないようにきちんと根を張らせなくてはなりませんので、日当たりの良い場所であることは、実はとても大切なポイントなのです。

  • 規制区域かどうかをチェック

もう1つ注意するべきなのは土地自体にかかる制限です。土地に規制のかかった区域では、外構も条件付きになり、ブロック積みが強制される可能性もあります。まずはお住まいの地域に制限がないか確認をしましょう。

芝生法面のアプローチ

今回のまとめ

「法面(のりめん)」とは、自然の土地に人工的な手を加えてつくられた斜面のことを言います。「法面仕上げ」とは、ブロックを積むといった行為をあえてせず、斜面を整えたままの状態を完成とすることです。

法面に芝生を張ると、安価に施工ができる、日当たり条件が良い、景観面、自由度の高さ、一体感が生まれるといったメリットがあります。反対に、十分なスペースが必要、傾斜角度に注意が必要、管理面といったデメリットもあります。

芝生の施工を実際に検討する前には、土壌、日当たり、規制区域かどうかをチェックする必要があります。

近年オープンスタイルの外構やお庭が増え、コストを抑えながらも世界観のあるお庭が実現しやすくなりました。その1つの足がかりとなったのが法面の芝張りです。あるときは欧州を思わせる丘に、あるときは懐かしいあたたかさを感じる河原のように、周りのつくり方次第で風景も変わります。お庭への夢をより一層膨らませたいかたはぜひご相談ください。

はじめのページ(前編)

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